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大人向け絵本『渡り鳥とヒグマのルドルフ』作•画 ぴょん吉

オリジナル作品
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ぴょん吉には絵本を作りたい
という夢があったんだ🐰

物語は書き上がってるんだけど
自分が創作した物語を
人に見せるのが恥ずかしくて
作画がなかなか進まなかった🎨

そろそろ
ホコリをかぶってしまいそうだから
誰か1人にでも
読んでもらえると嬉しいな🐰

表紙しか絵がない絵本なんだけど🙄

20才の頃のぴょん吉が書いた物語📗

⭐︎

渡り鳥とヒグマのルドルフ

作•絵 ぴょん吉

私は渡り鳥

北から南へ、南から北へ
一年中、旅をしています

これから、私が旅の途中で出逢った「ヒグマのルドルフ」についてお話しましょう

あれは春の、よく晴れた日のことでした

暑い季節を涼しい国で過ごそうと、私は北を目指して空を飛んでいました

空の下には、一面、森が広がっています

ふと、下の方に目をやると、森の中に、一ヶ所だけ木が生えていない場所がありました

お日さまの光が、そこだけキラキラと当たっていて、まるで広場のようでした


「あそこで少し休憩しよう」

私は地上へ降りていきました

降りて行く途中、広場の真ん中に大きな丸太があるのが見えました

私は、丸太の横にある平たい石の上に、降り立ちました

森に囲まれた広場は、空の中とは違って風が穏やかで
お日様がぼんやりと、あたりを照らしています

「ぽかぽかと温かくて、なんて気持ちがいいのだろう」

私は目をつぶって、くつろいでいました


どのくらい時間が経ったでしょうか、少し眠ってしまったようです

「ん‼︎⁉︎」

目を開けた私は驚きました
目の前に大きな茶色いかたまりが現れたのです

かたまりには手と足があるのが分かりました

毛も生えています
毛は水で濡れていました

上のほうに、耳のようなものがついています

「も、もしかして、、、ネコ???」

私は以前、浜辺でエサを取っているときに
ネコに襲われたことがあるので
それ以来、ネコが怖いのです

「ネコだったらどうしよう!」

私はおびえていました

飛び立って逃げ出そうとしましたが
恐怖で身体が固まってしまい、動けません

私は勇気を出して、かたまりに話しかけてみることにしました

「あ、あなたはネコですか?」

冷や汗がダラダラと身体を流れます

ぽかぽかしていた私の身体は、すっかり冷え切っていました

すると、茶色いかたまりが、ゆっくりと口を開きました

「いいえ、ルドルフです」

「ルドルフ?あなたはネコではないのですか?」

「ネコ、とは何ですか?」

かたまりはネコを知らないようでした

「よかった!ネコを知らないなら、あなたはネコではないですね」

私は、ほっとしました


それから私たちは、しばらく話をしました

よくよく話を聞くと、かたまりは「ヒグマ」という種類の動物で
「ルドルフ」は彼の名前でした

ルドルフには昔、家族がいましたが、今はこの森に一人で暮らしています

ルドルフは毎日、森の中を流れる川で魚を獲り、食事をします

食事の後は、この広場で濡れた身体を乾かしながら、
ひなたぼっこをするのが、ルドルフの日課でした

ルドルフは私よりずっと長く生きていますが
この森から一度も出たことがないと言います

「この森から出てみたいとは思わないのですか?」

私は聞いてみました

すると、ルドルフは穏やかに答えました

「ここには、思い出があるから」


世界はとても広いのに、この森しか知らないなんて
私には何だか退屈に思えました

そこで、私はルドルフに、旅の途中で出逢ったさまざまな生き物や
出来事の話をしました

一日中、日が沈まない北国と、美しい山の話

ウミネコというネコのような声で鳴く鳥と、広い海の話

夜でも明るい街と、そこに住む人間の話

それから、鮮やかな色をした南国の魚たちの話

ルドルフは少し耳が遠いようでしたが
私が話す知らない土地の話を、楽しそうに聞いてくれました

気がつくと、お日さまがだいぶ傾いていました

「そろそろ行かなくては。夜になる前に、森の終わりまで飛ばないと」

私は旅立つことにしました

「お話をありがとう。楽しかったよ」

ルドルフが目を細めて言うので、私は何だか嬉しくなりました

「来年また来るよ」

そう言って私は空へと戻りました



夏が来て、秋が来て、冬が来ました

やがて春になり、一年が過ぎました
今年ももうすぐ夏がやってきます


よく晴れた日でした

私は、涼しい北の国を目指して、
ルドルフの住むあの森の上を飛んでいました

旅の途中、ルドルフにそっくりなツキノワグマという動物に出会ったので
ルドルフに会ったら話を聞かせようと思っていました


森の上をしばらく飛んでいると、あの広場が見えてきました

私は広場の端に立つ木に降り立ち、ルドルフが来るのを待つことにしました

ところが、待っても待ってもルドルフは現れません

私は木から離れ、ぐるぐると飛びながら広場を見渡しました

そして、丸太の近くの平たい石にゆっくりと降り立ちました

お日様は変わらず温かく、ぼんやりとした光を広場に注いでいます

ルドルフが座っていた丸太が、長い草ですっかり覆われていることに、私は気づいていました


私は、ルドルフが言ったあの言葉を思い出します

「ここには思い出があるから」

れっつごーぴょん吉❣️

 

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